前回(腸内細菌と酵素2)で、
酵素は特定の器官で作られるのではなく、体のほとんどすべての細胞が、必要に応じて必要とする酵素を自ら作っていますと説明しましたが、
腸内細菌も酵素を作っています。
最新の研究によれば、腸内細菌が作る酵素の種類は、人間が作る酵素の150倍で、体の中で作られている酵素よりも腸内細菌が作っている酵素のほうが、種類も量も多いことが解ったそうです。
腸内細菌が作る酵素は、人の酵素では分解しきれなかった食べ物を分解したり、毒素を無毒化したり、老廃物の排泄を促進したりと、さまざまな働きを体内で行っています。
例えば、
野菜などに含まれる食物繊維(セルロース)などの多糖類の多くを人の酵素では分解できないのですが、
腸内細菌が生み出す酵素が多糖類を分解してくれるおかげで栄養素として吸収することができます。
海藻類や大豆イソフラボンも人の酵素では分解が難しく、腸内細菌が作った酵素が分解してくれています。
「腸内細菌とビタミン」で解説したビタミン群も、腸内細菌が作る酵素が合成して作り出しています。
このように、腸内での栄養の吸収や栄養素の合成は、腸内細菌による酵素が活躍しているのです。
また、腸内細菌が作る酵素によって、免疫を促進する働きをする成分を作ったり、アレルギー反応など、免疫の過剰反応を抑える成分を作ったりと、免疫機能のバランスを保っています。
腸内細菌が多ければ多いほど、体内の酵素がより豊富になり、多くの働きが期待できますが、
腸内細菌が少なければ酵素不足になり、分解されないものが体内に増え、栄養の合成や吸収が少なくなったり、免疫機能のバランスが崩れたりします。
腸内細菌を増やす生活が大事ですね。